雑記

撮った写真を、見返さない

年末になると、一年分の写真を整理しようと思い立つ。そして、毎年、挫折する。仕事の写真は、納品するから、否応なく整理する。問題は、自分用に撮った、廃村だの古道だのの写真だ。これが、膨大にある。そして、ほとんど、見返していない。撮るときは、夢中...
雑記

「なぜ、似たものが、別々の場所に」――学生の頃に教わったこと

先日、大学時代のゼミの後輩から連絡があった。恩師が、もうすぐ退官されるかもしれない、という話だった。ぼくは大学で民俗学のゼミにいた。郷土史や、各地に伝わる伝承を扱う、地味なゼミだった。就職には何の役にも立たないとよく言われたし、実際そうだっ...
雑記

取材で、やらかした話

たまには、情けない話も書いておく。先日の取材で、現地に着いてから、カメラのSDカードを一枚も持ってきていないことに気づいた。宿でも、移動中でもなく、まさに「さあ撮るぞ」という、その瞬間に気づいたのだから、たちが悪い。頭が真っ白になった。幸い...
廃村

廃屋に、めくられないままのカレンダーがあった

廃村を歩くのが、趣味だ。誰もいなくなった集落を訪ねて、かつての暮らしの痕跡を、ぼんやり眺める。悪趣味だと言われれば、否定はしない。でも、ぼくにとっては、歴史の本を読むのと、あまり変わらない。活字になる前の、名もなき人の暮らしが、そこには、転...
廃村

残されたものは、なぜか生活の細部だ

廃村を歩いていて、いつも不思議に思うことがある。人がいなくなった家に残されているのは、たいてい、どうでもいいような、生活の細部なのだ。立派な仏壇や、高そうな家具は、たいてい持ち出されている。当たり前だ。価値のあるものは、引っ越すときに持って...
地名

地図を読む、ということ

地図を「見る」のと「読む」のは、違う。見る、というのは、目的地を探したり、道順を確かめたりすること。カーナビが、やってくれることだ。読む、というのは、地図そのものを、一個の文章のように味わうことだ。たとえば、等高線。線が混んでいるところは急...
地名

「七人塚」は、全国にいくつもある

地図を眺めていると、ときどき、ぎょっとする地名に出くわす。少し前に見つけたのが、「七人塚(しちにんづか)」だった。バス停の名前として、現役で残っている。毎日、何の気なしに、人がそこで乗り降りしている。七人塚前、次は——というアナウンスが、流...
地名

古道具屋で、古い地図を買う

旅先で古道具屋を見つけると、つい入ってしまう。骨董というほど上等なものではなく、誰かの家を片付けて出てきた、雑多なものが並んでいる、ああいう店だ。食器だの、農具だの、古い雑誌だの。ぼくが見るのは、たいてい、紙ものの箱の中身だ。先日も、そうい...
雑記

蕎麦屋の話

取材先で入った蕎麦屋が、当たりだった。国道から一本入った、看板も出ていないような店で、ほとんど地元の人しか来ないらしい。品書きは、もり、かけ、天ぷら。それだけ。余計なものが何もない。こういう店に当たると、その日一日、機嫌がいい。旅の仕事をし...
雑記

雪道の運転と、ラジオ

冬の取材は、移動が、いちばんの難所だ。特に、雪国の山道。夏なら何でもない道が、冬は一変する。路面は凍り、視界は白く煙り、対向車もほとんど来ない。こういう道を、ひとりで延々と運転していると、だんだん、自分が世界にただひとり取り残されたような気...