地名

「七人塚」は、全国にいくつもある

地図を眺めていると、ときどき、ぎょっとする地名に出くわす。少し前に見つけたのが、「七人塚(しちにんづか)」だった。バス停の名前として、現役で残っている。毎日、何の気なしに、人がそこで乗り降りしている。七人塚前、次は——というアナウンスが、流...
地名

古道具屋で、古い地図を買う

旅先で古道具屋を見つけると、つい入ってしまう。骨董というほど上等なものではなく、誰かの家を片付けて出てきた、雑多なものが並んでいる、ああいう店だ。食器だの、農具だの、古い雑誌だの。ぼくが見るのは、たいてい、紙ものの箱の中身だ。先日も、そうい...
雑記

蕎麦屋の話

取材先で入った蕎麦屋が、当たりだった。国道から一本入った、看板も出ていないような店で、ほとんど地元の人しか来ないらしい。品書きは、もり、かけ、天ぷら。それだけ。余計なものが何もない。こういう店に当たると、その日一日、機嫌がいい。旅の仕事をし...
雑記

雪道の運転と、ラジオ

冬の取材は、移動が、いちばんの難所だ。特に、雪国の山道。夏なら何でもない道が、冬は一変する。路面は凍り、視界は白く煙り、対向車もほとんど来ない。こういう道を、ひとりで延々と運転していると、だんだん、自分が世界にただひとり取り残されたような気...
雑記

土地の話を聞かせてくれる人が、減っている

取材で地方を回っていると、ときどき、その土地のことを、驚くほどよく知っているお年寄りに出会う。どこそこの沢では昔こんなことがあった、あの山の向こうには昔は集落があった、この地名はこういう謂れだ——そういう話を、まるで昨日のことのように、生き...
雑記

自転車で、行けるところまで

仕事の合間に、ときどき、自転車で遠出をする。学生のころからの癖だ。当時は金がなかったから、どこへ行くにも自転車だった。夜行で輪行して、知らない土地に降り立って、あとはただ、ペダルを漕いで、行けるところまで行く。目的地は、特に決めない。決めな...
雑記

その土地でしか食べられないもの

旅の仕事のいいところは、その土地でしか食べられないものに、出会えることだ。有名な名物の話ではない。むしろ、地元の人が「えっ、こんなもの?」と不思議がるような、ごくありふれた、その土地の日常食のほうが、面白い。先日の取材先では、定食屋の小鉢で...
地名

その地名は、二百年後のあなたへの手紙だった

ある土地で、不思議な名前の小さな川を見つけた。「蛇抜(じゃぬけ)川」という。蛇が抜ける、と書く。妙な名前だ。蛇がたくさんいるのか、と最初は思った。でも、調べてみて、背筋が、すっと冷たくなった。「蛇抜け」というのは、土石流のことだった。山が崩...
地名

読めない地名のことばかり考えている

取材で各地を回っていると、読めない地名に、しょっちゅうぶつかる。先日も、ある県の山間部で、どうしても読めない交差点の標識があった。あとで調べたら、なるほどそう読むのか、というような、予想のはるか斜め上をいく読み方だった。こういうとき、ぼくは...
雑記

古いカメラを使い続けている

仕事の写真は、いちおう、それなりの機材で撮る。依頼主に納品するものだから、当然だ。でも、自分の覚え書き用には、ずっと同じ、古いコンパクトデジカメを使っている。もう十年選手だ。さすがにあちこちガタがきていて、たまに、変な色が出たり、妙なノイズ...