そろそろ、秋の北海道取材の支度を始めている。
といっても、ぼくの支度は、たいしたものではない。
カメラと、レンズと、予備のバッテリー(今度こそ忘れない)。
歩きやすい靴と、雨具。熊鈴。
あとは、現地の古い地図のコピーを、何枚か。
この「古い地図のコピー」が、ぼくの場合、いちばん大事な装備かもしれない。
仕事の取材先の地図ではない。
仕事のあとに、足を伸ばすつもりの、ある場所の地図だ。
道央の、山あいの集落。
ずいぶん前から、気になっている。
明治の地図と、戦後の地図と、今の地図。
三枚を見比べると、その土地の名前が、時代によって、少しずつ違う。
いちばん古い記録にある名前と、今の名前とでは、まるで別物だ。
なぜ、名前が変わったのか。
変わる前の名前は、何を意味していたのか。
それを、現地に立って、確かめてみたい。
——と、こういうことを考えながら荷造りをしていると、
いつのまにか、仕事の支度より、そっちの準備に熱中している。
本末転倒だ。
まあ、いい。
仕事は仕事で、ちゃんとやる。
そのうえで、自分の時間を、少しだけ。
それが、フリーランスの、数少ない役得というものだ。
天気が、もってくれるといいのだけれど。
北海道の秋は、気まぐれだと聞く。

コメント