取材先で入った蕎麦屋が、当たりだった。
国道から一本入った、看板も出ていないような店で、
ほとんど地元の人しか来ないらしい。
品書きは、もり、かけ、天ぷら。それだけ。
余計なものが何もない。
こういう店に当たると、その日一日、機嫌がいい。
旅の仕事をしていると、いわゆる「名店」「予約必須の店」みたいなところにも
取材で行くことはあるのだけれど、
正直なところ、ぼくはこういう、看板もない蕎麦屋のほうが、ずっと好きだ。
誰も騒がない。誰も写真を撮らない。
ただ、黙って蕎麦を手繰って、出ていく。
店の主人に「うまかったです」と言ったら、
「そうかい」と、それだけだった。
それでいい。それがいい。
仕事の記事には、たぶん書かない。
書いたら、人が来てしまうから。
……というようなことを書くと、
じゃあなぜブログには書くんだ、と言われそうだが、
まあ、ここは誰も読んでいないので、いいのである。

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