廃村

栄沢のこと(一) ――二つの名前を持つ廃村

少し前から予告していた、あの集落のことを、ようやく書こうと思う。書こう書こうと思いながら、なかなか書けずにいた。というのも、どこから書けばいいのか、自分でもよくわからなかったからだ。いや、わからなかったというのは少し違う。書きたいことが多す...
雑記

来週、北海道へ

来週から、北海道に行く。観光ムックの取材で、道央のあたりを回る。仕事自体は三日もあれば終わる、わりと気楽な内容だ。温泉と、地のものと、景色のいいドライブルート。そういう、誰もが安心して読める記事を書く。それが本業である。ただ、今回は、少し早...
雑記

旅の支度をしながら

そろそろ、秋の北海道取材の支度を始めている。といっても、ぼくの支度は、たいしたものではない。カメラと、レンズと、予備のバッテリー(今度こそ忘れない)。歩きやすい靴と、雨具。熊鈴。あとは、現地の古い地図のコピーを、何枚か。この「古い地図のコピ...
廃村

誰かが、記録していた

古本屋で、ある写真集を見つけた。個人が自費出版したものらしい。タイトルも素っ気ない。「○○村の記録」。中身は、もう廃村になった、ある集落の、暮らしの写真だった。おそらく、その村の出身者か、近くに住んでいた人が、村が消えていく前に、せめて記録...
地名

本当の名前を、教えてはいけない土地の話

民俗学の古い本を読んでいると、ときどき、ぞっとする話に出会う。ある地方に、こんな言い伝えがあった。——山の、ある場所の「本当の名前」を、よそ者に教えてはいけない。その場所には、ふだん使う、通称がある。里の人は、みな、その通称で呼ぶ。でも、そ...
廃村

道は、いちばん最後まで残る

廃村を歩いていると、いつも同じことを思う。建物は、案外あっけなく消える。木造の家屋なら、十年も放っておけば屋根が落ちる。二十年で柱が傾き、三十年も経てば、もう床がどこにあったかもわからない。草が呑み、土に還る。人がいたという証拠は、驚くほど...
廃村

「希望」という名の駅が、いくつも消えた

廃線跡を歩くのが好きだ、という話は、前にも書いた。廃線には、廃駅がある。列車が来なくなり、人が降りなくなった、駅の跡。そういう場所の「駅名」を集めていると、あることに気づく。北海道や、東北の開拓地に、妙に前向きな駅名が、多いのだ。「希望(き...
雑記

夏の、何でもない一日

締切と締切の谷間に、ぽっかりと、何もない一日ができた。こういう日は、たいてい、持て余す。出かける気力もなく、かといって家事をする気にもなれず、結局、冷たい麦茶を飲みながら、古い地図を眺めて過ごした。エアコンの効いた部屋で、地図を広げて、行っ...
雑記

夏の海辺の町で

夏の取材で、海辺の小さな町に来ている。観光ガイドの仕事だから、撮るのは、明るい海と、新鮮な魚と、日に焼けた笑顔の店主、といったところだ。そういう、絵に描いたような「いい夏」を、記事にする。それはそれで、嫌いな仕事ではない。人が楽しそうにして...
雑記

ブログを引っ越しました

ブログを引っ越した。これまで使っていた無料のブログサービスが、どうにも使いづらくなってきて、広告は増えるし、表示は重いし、いつ畳まれてもおかしくない雰囲気だったので、思いきって独自ドメインを取って、こちらに移すことにした。「kyodo-ko...