廃村

廃村を歩くときに持っていくもの

「廃村めぐりが趣味です」と言うと、たいてい変な顔をされる。心霊スポット的なものを想像されることが多いのだけれど、ぼくの興味はそこにはない。幽霊にもオカルトにも、正直あまり関心がない。ぼくが見たいのは、かつてそこに人が暮らしていた、その生活の...
雑記

取材の合間に、ひとつ手前の駅で降りてみる

仕事柄、全国いろいろな場所に行く。観光の記事を書いていると言うと羨ましがられるのだけれど、実際の取材はけっこう慌ただしい。朝いちばんで現地に入って、決められたスポットを順番に回って、写真を撮って、話を聞いて、夕方には次の土地へ移動する。ガイ...
雑記

冬の、誰もいない宿

冬の平日に、温泉宿に泊まるのが好きだ。観光地の宿でも、冬の平日となると、客はぐっと減る。ときには、広い宿に、泊まりがぼく一人、ということもある。夕食を運んでくれる仲居さんが、「今日はお客様おひとりなんですよ」と、少し申し訳なさそうに言う。ぼ...
雑記

川は、人より古い

あけましておめでとうございます……と書くには、もう遅すぎる時期になってしまった。正月は実家でだらだらしていて、すっかり更新をさぼっていた。年末年始、古い地図を眺めて過ごしていた。ぼくの数少ない趣味のひとつだ。国土地理院の地形図の、できるだけ...
雑記

撮った写真を、見返さない

年末になると、一年分の写真を整理しようと思い立つ。そして、毎年、挫折する。仕事の写真は、納品するから、否応なく整理する。問題は、自分用に撮った、廃村だの古道だのの写真だ。これが、膨大にある。そして、ほとんど、見返していない。撮るときは、夢中...
雑記

「なぜ、似たものが、別々の場所に」――学生の頃に教わったこと

先日、大学時代のゼミの後輩から連絡があった。恩師が、もうすぐ退官されるかもしれない、という話だった。ぼくは大学で民俗学のゼミにいた。郷土史や、各地に伝わる伝承を扱う、地味なゼミだった。就職には何の役にも立たないとよく言われたし、実際そうだっ...
雑記

取材で、やらかした話

たまには、情けない話も書いておく。先日の取材で、現地に着いてから、カメラのSDカードを一枚も持ってきていないことに気づいた。宿でも、移動中でもなく、まさに「さあ撮るぞ」という、その瞬間に気づいたのだから、たちが悪い。頭が真っ白になった。幸い...
廃村

廃屋に、めくられないままのカレンダーがあった

廃村を歩くのが、趣味だ。誰もいなくなった集落を訪ねて、かつての暮らしの痕跡を、ぼんやり眺める。悪趣味だと言われれば、否定はしない。でも、ぼくにとっては、歴史の本を読むのと、あまり変わらない。活字になる前の、名もなき人の暮らしが、そこには、転...
廃村

残されたものは、なぜか生活の細部だ

廃村を歩いていて、いつも不思議に思うことがある。人がいなくなった家に残されているのは、たいてい、どうでもいいような、生活の細部なのだ。立派な仏壇や、高そうな家具は、たいてい持ち出されている。当たり前だ。価値のあるものは、引っ越すときに持って...
地名

地図を読む、ということ

地図を「見る」のと「読む」のは、違う。見る、というのは、目的地を探したり、道順を確かめたりすること。カーナビが、やってくれることだ。読む、というのは、地図そのものを、一個の文章のように味わうことだ。たとえば、等高線。線が混んでいるところは急...